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出雲の伝統工芸紹介「高橋鍛冶製品」
出雲市には、豊かな自然と歴史に育まれた多くの優れた伝統工芸があります。 作り手の方の想いとともに、出雲の工芸を紹介します。 |
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今回ご紹介するのは、出雲市朝山地区で104年続く高橋鍛冶屋さんの刃物、鉄製品です。
工房を訪ねると、硬い鉄を叩く高橋鍛冶屋四代目高橋勉さんの姿がありました。
コークスでおこした真っ赤な火の中で、軟鉄と鋼(はがね)をそれぞれよく熱し、ホウ酸を混ぜた鉄粉を接着剤として軟鉄と鋼を接着します。この技術は「わかし」と呼ばれ、県内では高橋さんのみが習得されています。
「わかし」は温度の見極めがとても重要です。鉄の融点は1,000℃、鋼は900℃と融点が異なるので、見た目で温度が判断できるようにならなければうまく接着することはできません。
習得には10年以上かかる技術ですが、高橋さんは育った環境と持ち前の感覚の良さで4~5年で習得されたそうです。
接着の手順は、下写真のとおりです。
接着後、熱しては叩く作業を繰り返し、鉄を鍛えることで、丈夫な刃物にしていきます。
形が整ったら、包丁の形に切り取っていきます。
すべて高橋さんの手仕事によるため、一品一品表情がことなる包丁が生み出されます。その後も熱しては叩き、グラインダーで削って焼き入れをして砥石で仕上げていきます。
高橋さんの作られた包丁で、試し切りをさせていただきました。
固い人参も、力を入れずにスッと切ることができます。
使わせていただいたのはおすすめの三徳包丁。
魚・肉・野菜と何にでも使いやすく、軽くて扱いやすい包丁です。
刃物類の研ぎと柄の交換は無料で行っていただけるので、末長く愛着をもって使うことができます。
包丁の他にも、農具や花台、行燈、灯ろう、表札など様々な鉄製品を作っておられます。
こちらは、「日本のおみやげコンテスト」で入賞した花台です。
飾る場所に応じて、様々なサイズを展開されています。
一般家庭の表札や、店舗・酒蔵の行灯看板や門灯などのオリジナル製品についても、使われる方と相談を重ねながら丁寧に作っていただけます。
「この仕事をやめたいと思われたことはないですか?」という問いかけに
「もちろんありますよ。だけど、お客様と接するでしょ、要望をお聞きしてでき上がったものを見ていただき、良かったよーと言っていただくことが一番の喜びです。それがあるから続けていけます。そして、たくさんの方に本物を知っていただき、本当に切れる包丁はどんなものか、本当に切れるもので切った野菜の味がどれだけ違うかを実感してほしいです。」と語っておられました。
◆出店情報
毎週日曜10時から出雲市駅高架下で開催される「縁引寄市」にて
製品販売と包丁研ぎを行っておられますので、お気軽にお立ち寄りください。
◆工房見学・製作体験 *要事前予約
実際の製作現場を間近で見せていただけます。また、製作体験(ペティナイフ8,000円、鉄皿3,000円)もありますので、ご自分でオリジナルナイフを作ることができます。
見学、製作をご希望の場合は事前にお電話でご予約ください。(高橋鍛冶屋/0853-48-0885)
ペティナイフ 鉄皿
全国の催事に出展されています 8月8日(火)~8月13日 広島三越 「職人の技展」 8月23日(水)~29日(火)大阪/阪急うめだ本店「神在国のおくりもの」 9月1日(金)~10日(日)島根県物産観光館「鉄のぬくもり展」
◆催事出展予定
高橋鍛冶屋
島根県出雲市所原町2607-1
電話:0853-48-0885
ホームページ http://takahashikajiya.jp/
出雲の手仕事マップ http://izumo-teshigoto.jp/te/te_01.html