聖谷たたら跡
聖谷たたら跡は、島根県出雲市の西部地域、出雲市多伎町奥田儀の山中に所在します。
これまでの分布調査で排滓場やそれに伴う平坦面、石垣などが確認されており、平成18年度から開始した発掘調査によって実際にたたら跡が確認できました。
遺跡内には、田儀櫻井家4代当主櫻井宗兵衛清矩の名とともに享保19年(1734)の紀年銘が刻まれた地蔵(台座)が安置されていたことが判明しました。
確認したたたら跡は、出土した遺物から18世紀代の操業であり地蔵が安置された時期に操業したたたらと考えられ、たたら操業のわかるきわめて貴重な遺跡です。
(南平坦面の調査)
南平坦面の調査においてたたら跡を発見しました。地上部分の製鉄炉自体は、操業のたびに壊しますのでのこりませんが、地下部分の湿気を取り除く構造(本床・小舟)などを発掘調査で確認することができました。
南平坦面
本床
小舟内部
(北平坦面の調査)
石垣で囲まれた北平坦面では、製鉄関係の建物跡が予想され、慎重に調査を実施しました。製鉄に直接遺構は未確認ですが、建物跡と関係する石列、赤く焼けた焼土面などを発見しました。
北平坦面
北平坦面を囲む石垣
北平坦面下の古道
地蔵祠
地蔵
地蔵台石の銘