○出雲市いじめの防止等に関する条例
(令和2年出雲市条例第20号)
(目的)
第1条
この条例は、いじめが、人間の尊厳及び人権に係る重大な問題行動並びに生命又は身体に重大な危険を生じさせる行為であり、いじめを受けた児童等が、生きる権利及び教育を受ける権利を著しく侵害されるとともに、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を受けることに鑑み、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、いじめの防止等に関し、市等の責務を明らかにし、いじめの防止等の基本となる事項を定めることにより、児童等の人権を守り、児童等が安心して生活を送ることができるよう、市等が連携し、いじめを許さない社会を目指すことを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
(2)
いじめの防止等 いじめの防止、いじめによる自死の防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。
(3)
市等 市、学校、家庭、地域住民その他関係者をいう。
(4)
学校 法第2条第2項に規定する学校であって、市が設置するものをいう。
(5)
児童等 学校に在籍する児童又は生徒をいう。
(6)
保護者 親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
(7)
関係機関 児童相談所、島根県教育委員会、警察その他のいじめの防止等に関係する行政機関及びPTAその他の民間団体をいう。
(8)
市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
(市の責務)
第3条
市は、法第3条に規定する基本理念にのっとり、いじめの防止等について、関係機関と協力しつつ、必要な体制の整備その他の施策を実施しなければならない。
2
市は、前項の規定による施策の実施に当たっては、学校及び関係機関と緊密な連携を図らなければならない。
3
市は、いじめに対して、学校が適切な対応ができるよう積極的に指導及び支援を行わなければならない。
(学校及び学校の教職員の責務)
第4条
学校及び学校の教職員は、法第3条に規定する基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、関係機関との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止等に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処し、必要な措置を講じなければならない。
(保護者の責務等)
第5条
保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等の心身の調和のとれた発達を図り、当該児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。
2
保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、学校と連携し、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。
3
保護者は、市及び学校が講ずるいじめの防止等に関する措置に協力するよう努めるものとする。
4
第1項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加えるものと解してはならず、また、前3項の規定は、いじめの防止等に関し、市及び学校の責任を軽減するものと解してはならない。
(関係機関の責務)
第6条
関係機関は、相互に連携を図りながら、市が行う施策に協力するよう努めるものとする。
(市民の責務)
第7条
市民は、それぞれの地域において、児童等に対する見守り、声かけ等を行うとともに、市、学校及び保護者と連携して児童等が安心して生活を送ることができる環境づくりに努めるものとする。
2
市民は、いじめを発見した場合又はいじめの疑いがあると認めた場合は、速やかに、市、学校又は関係機関に情報を提供するよう努めるものとする。
(児童等の責務)
第8条
児童等は、いじめを行ってはならず、安心して生活を送ることができるよう互いに思いやり、支え合うよう努めるものとする。
(出雲市いじめ防止基本方針の策定)
第9条
市は、法第12条の規定により、いじめの防止等を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「出雲市いじめ防止基本方針」という。)を定めるものとする。
2
出雲市いじめ防止基本方針は、市における法第3章に規定する基本的施策に係る事項、法第4章に規定するいじめの防止等に関する措置に係る事項、法第5章に規定する重大事態への対処に係る事項その他の必要な事項を定めるものとする。
3
市は、市におけるいじめの防止等の取組について検証及び評価を行い、必要があると認めるときは、出雲市いじめ防止基本方針を変更するものとする。
4
市は、出雲市いじめ防止基本方針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(学校いじめ防止基本方針の策定)
第10条
学校は、法第13条の規定により、当該学校におけるいじめの防止等に関する基本的な方針(以下「学校いじめ防止基本方針」という。)を定めるものとする。
2
学校は、当該学校におけるいじめの防止等の取組について検証及び評価を行い、必要があると認めるときは、学校いじめ防止基本方針を変更するものとする。
3
学校は、学校いじめ防止基本方針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(財政上の措置等)
第11条
市は、いじめの防止等に係る施策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
(相談及び情報収集)
第12条
市は、児童等、保護者その他の関係者が安心して相談できるよう、いじめに関する相談体制の充実を図るとともに、いじめに関する情報の収集に努めるものとする。
(関係機関との連携)
第13条
市は、市、学校及び関係機関が相互の連携強化を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
(教育)
第14条
市は、いじめが児童等の人権を侵害し、その心身に重大な影響を与えるものであり、絶対に許されない行為であることを理解するよう、いじめの防止等のための教育の充実を図るものとする。
(いじめ問題対策連絡協議会)
第15条
出雲市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、関係機関の連携を図るため、法第14条第1項の規定により、出雲市いじめ問題対策連絡協議会(以下「連絡協議会」という。)を置く。
2
連絡協議会は、次に掲げる事項について協議する。
(1)
いじめの防止等の取組に関する事項
(2)
関係機関の連携に関する事項
3
連絡協議会は、委員15人以内で組織する。
4
連絡協議会の委員は、法第14条第1項に規定する関係者のうちから教育委員会が委嘱し、又は任命する。
5
連絡協議会の委員の任期は、2年とする。
ただし、再任を妨げない。
6
補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7
連絡協議会の庶務は、教育委員会教育部児童生徒支援課において処理する。
8
前各項に定めるもののほか、連絡協議会の運営に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
(いじめ問題対策委員会)
第16条
教育委員会は、法第14条第3項の規定により、出雲市いじめ問題対策委員会(以下「対策委員会」という。)を置く。
2
対策委員会は、次に掲げる事務を所掌する。
(1)
市いじめ防止基本方針に基づくいじめの防止等のための施策について審議し、提言を行うこと。
(2)
学校、保護者その他の関係者からいじめに関する通報及び相談を受けた場合、必要に応じて当該いじめへの対処について検討し、必要な助言等を行うこと。
3
対策委員会は、委員10人以内で組織する。
4
対策委員会の委員は、次に掲げる者のうちから教育委員会が委嘱する。
(1)
弁護士
(2)
医療関係者
(3)
教育関係者
(4)
福祉関係者
(5)
学識経験者
(6)
関係機関の職員
5
対策委員会の委員の任期は、2年とする。
ただし、再任を妨げない。
6
補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7
対策委員会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
8
対策委員会の庶務は、教育委員会教育部児童生徒支援課において処理する。
9
前各項に定めるもののほか、対策委員会の運営に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
(いじめ問題調査委員会)
第17条
教育委員会は、法第28条第1項に規定する重大事態(以下「重大事態」という。)が発生し、当該重大事態を主体的に調査する必要があると判断したときは、速やかに出雲市いじめ問題調査委員会(以下「調査委員会」という。)を置く。
2
調査委員会は、次に掲げる事務を所掌する。
(1)
教育委員会の諮問に応じ、重大事態に係る事実関係について調査審議し、意見を答申する。
(2)
前号の調査審議の結果に基づき、教育委員会に対し、必要に応じて当該重大事態と同種の事態への対処方法及び再発防止策の提言を行う。
3
調査委員会は、各諮問について委員5人以内で組織する。
4
調査委員会の委員は、次に掲げる者のうちから教育委員会が委嘱する。
(1)
弁護士
(2)
医療関係者
(3)
教育関係者
(4)
福祉関係者
(5)
学識経験者
5
調査委員会の委員は、第2項に規定する所掌事務が終了したときは、解任されるものとする。
6
調査委員会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
7
調査委員会の庶務は、教育委員会教育部児童生徒支援課において処理する。
8
前各項に定めるもののほか、調査委員会の運営に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
(いじめ問題再調査委員会)
第18条
市長は、前条の規定による調査の結果について調査が必要であると認めるときは、法第30条第2項の規定により、出雲市いじめ問題再調査委員会(以下「再調査委員会」という。)を置くことができる。
2
再調査委員会は、市長の諮問に応じ、重大事態に係る調査の結果について調査審議し、意見を答申する。
3
再調査委員会は、各諮問について委員5人以内で組織する。
4
再調査委員会の委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1)
弁護士
(2)
医療関係者
(3)
教育関係者
(4)
福祉関係者
(5)
学識経験者
5
再調査委員会の委員は、当該諮問に係る調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
6
再調査委員会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
7
再調査委員会の庶務は、総務部総務課において処理する。
8
前各項に定めるもののほか、再調査委員会の運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(報酬及び費用弁償)
第19条
連絡協議会の委員、対策委員会の委員、調査委員会の委員及び再調査委員会の委員の報酬及び費用弁償は、特別職の職員で非常勤のものの報酬、費用弁償等に関する条例(平成17年出雲市条例第36号)の規定を適用する。
附 則
(施行期日)
1
この条例は、令和2年4月1日から施行する。
(出雲市いじめ問題対策委員会設置条例の廃止)
2
出雲市いじめ問題対策委員会設置条例(平成26年出雲市条例第22号)は、廃止する。
(所掌事務に関する経過措置)
3
この条例の施行の際、廃止前の出雲市いじめ問題対策委員会設置条例(以下「廃止前の条例」という。)第1条の規定により設置された出雲市いじめ問題対策委員会(「旧対策委員会」という。)の廃止前の条例第3条第1項第1号、第2号及び第4号に規定する所掌事務は、この条例の施行後の第16条の規定により設置する対策委員会の所掌事務に引き継ぐものとし、旧対策委員会の廃止前の条例第3条第1項第3号及び同条第2項に規定する所掌事務は、この条例の施行後の第17条の規定により設置する調査委員会の所掌事務に引き継ぐものとする。