○出雲市議会議員政治倫理条例
(令和4年12月20日条例第29号)
(目的)
第1条
この条例は、出雲市議会基本条例(平成19年出雲市条例第54号)第6条第2項の規定に基づき、出雲市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体を代表しその奉仕者(以下「市民全体の奉仕者」という。)として自律的にその人格と倫理の向上に努めるとともに、自己の地位による影響力を不正に行使し、自己又は特定の者の利益を得ることのないよう必要な事項を定めることにより、市政に対する市民の信頼を確保し、もって公正で開かれた民主的な市政の維持及び発展に寄与することを目的とする。
[
出雲市議会基本条例(平成19年出雲市条例第54号)第6条第2項
]
(議員の責務)
第2条
議員は、市民全体の奉仕者として、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、市民の要請に的確に対応できる識見を常に養うとともに、第4条に規定する政治倫理基準を遵守し、市民の信頼に値する高い倫理性を保たなければならない。
[
第4条
]
2
議員は、政治倫理基準に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら真摯な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(市民の役割及び責務)
第3条
市民は、自らが市政の主権者として公共の利益を実現する責任を有することを自覚するとともに、議員に対し、その権限又は地位の影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第4条
議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1)
市民全体の奉仕者として、その品位又は名誉を損なう一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2)
市民全体の奉仕者として、人格及び倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3)
市民全体の奉仕者としての発言又は情報発信において、他人のプライバシーを侵害し、名誉を毀損し、人格を損なう一切の行為をしないこと。
また、第三者をして同様の行為をさせないこと。
(4)
あらゆるハラスメント(行為者の意図にかかわらず、相手方を不快にさせ、相手方の尊厳を傷つけ、又は相手方に不利益若しくは脅威を与えることをいう。)その他人権侵害のおそれのある言動をしないこと。
(5)
市が行う許可若しくは認可又は請負その他の契約に関し、特定の企業、団体等の推薦又は紹介をする等その地位を利用して不正にその影響力を行使しないこと。
(6)
市の職員の公正な職務の遂行を妨げ、又はその職権を不正に行使するよう働きかけないこと。
(7)
市の職員の採用、異動、昇格等人事に関し、推薦又は紹介をする等その地位を利用して不正にその影響力を行使しないこと。
(8)
政治活動に関する寄附について、政治的又は道義的な批判を受けるおそれのあるものを受けないこと。
議員の後援団体に対する寄附についても、同様とする。
(9)
議員は、出雲市暴力団排除条例(平成23年出雲市条例第155号)第2条第1項第1号に規定する暴力団、同項第2号に規定する暴力団員及びこれらと社会的に非難されるべき関係を有する者と利害関係を持たないこと。
[
出雲市暴力団排除条例(平成23年出雲市条例第155号)第2条第1項第1号
]
(請負契約に関する遵守事項)
第5条
議員は、自らが役員となっている、又は実質的に経営に携わっている法人等に対し、市が行う工事、製造等の請負に係る契約の締結に関しては、地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2の規定の趣旨を尊重し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。
(指定管理者の指定に関する遵守事項)
第6条
前条の規定は、地方自治法第244条の2第3項の規定による指定管理者の指定について準用する。
(審査の請求)
第7条
議員又は市民(地方自治法第18条の規定による選挙権を有する者で、議員を除くものをいう。以下「有権者」という。)は、第4条に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあると認めるときは、議長に対し、これを証する資料を添えて、審査を請求することができる。
[
第4条
]
2
前項の規定による請求は、次の各号に掲げる当該請求をする者(以下「審査請求者」という。)の区分に応じ、当該各号に定める書面により行わなければならない。
(1)
議員 議員定数の4分の1以上が連署する書面
(2)
有権者 有権者の総数の100分の1以上が連署する書面
3
議長は、第1項の規定による審査の請求があった場合において、当該請求が適正であると認めたときは、これを受理し、次条に規定する出雲市議会政治倫理審査会に審査を付託しなければならない。
(出雲市議会政治倫理審査会の設置)
第8条
議会に、出雲市議会政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
(審査会の委員)
第9条
審査会の委員は7人以内とし、議員及び専門的な識見を有する者等のうちから議長が指名し、又は委嘱する。
2
審査会の委員の任期は、当該審査に要する期間とする。
3
審査会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
4
会長は、審査会を代表し、会務を総理する。
5
副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
6
審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
その職を退いた後も、同様とする。
(審査会の所掌事務)
第10条
審査会は、次に掲げる職務を行う。
(1)
第7条の規定による審査の請求に係る事案を審査し、その結果を議長に報告し、及び必要な措置を勧告すること。
[
第7条
]
(2)
その他政治倫理の確立を図るため、議長の諮問を受けた事項について調査し、及び報告し、必要な措置を勧告し、又は意見を述べること。
2
審査会は、前項の職務を行うため必要があると認められるときは、審査の対象となる議員(以下「審査対象議員」という。)及び関係者、審査請求者、識見を有する者等に説明を求め、若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
3
審査会の職務に関し必要な事項は、その都度会長が審査会に諮って定める。
(会議)
第11条
審査会の会議は、会長が招集する。
2
審査会の会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3
審査会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
4
審査会の会議は、公開するものとする。
ただし、出席委員の3分の2以上の同意があるときは、非公開とすることができる。
(審査対象議員の協力義務)
第12条
審査対象議員は、審査会から審査に必要な資料の提出、審査会への出席その他の調査への協力を求められたときは、これに従わなければならない。
(虚偽報告等の公表)
第13条
議長は、審査会から次に掲げる報告があったときは、その旨を速やかに公表しなければならない。
(1)
審査対象議員が虚偽の報告をしたと認められる旨の報告
(2)
審査対象議員が前条に規定する審査会からの求めに応じなかった旨の報告
(3)
その他市民の信頼を回復するために必要と認められる措置をとるべき旨の報告
(弁明の機会の保障)
第14条
審査会は、審査対象議員から審査会において弁明したい旨を求められたときは、その機会を保障しなければならない。
2
審査会は、審査対象議員が前項の規定により弁明を行った場合は、その内容を審査結果に明記しなければならない。
(審査結果の報告及び通知)
第15条
審査会は、第7条第3項の規定により審査の付託があったときは、付託のあった日から起算して60日以内に審査の結果を書面により議長に報告しなければならない。
ただし、天災その他の事由によりやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
[
第7条第3項
]
2
議長は、前項の報告を受けたときは、その結果を審査請求者及び審査対象議員に通知しなければならない。
(審査結果の尊重)
第16条
審査対象議員は、前条第2項の規定による通知において、自らの行為が政治倫理基準に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重し、自ら政治倫理の確保のために必要な措置を講じなければならない。
(審査結果の公表)
第17条
議長は、第15条第1項の規定による審査の結果の報告があったときは、これを公表しなければならない。
[
第15条第1項
]
(議会の措置)
第18条
議会は、審査会の報告を尊重し、議会の品位を保持し、市民の信頼を回復するために必要な措置を講ずるものとする。
2
議長は、前項の措置を講じたときは、これを公表しなければならない。
(議長の職務の代行)
第19条
議長が審査対象議員となったときには副議長が、議長及び副議長がともに審査対象議員となったときには年長議員が、この条例に規定する議長の職務を行うものとする。
(委任)
第20条
この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
(施行期日)
1
この条例は、公布の日から施行する。
(検討)
2
議会は、この条例の施行後、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、定期的にこの条例の規定に検討を加え、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとする。