○出雲市産業振興条例
(平成18年出雲市条例第35号)
前文
出雲地域は、肥沃な出雲平野と豊かな幸をもたらす海、湖、山々を有し、これらの恵みにより農林水産業が発展し、あわせて、明治・大正期以降、交通の要衝として、山陰の商工業の中心として栄えてきた。
とりわけ出雲市は、出雲地域2市4町が平成17年3月に合併して以来、新市発展の最優先の重点施策として「21世紀産業都市の創造」を目指してたち上がったところである。このため、農・工・商・サービス業、観光ビジネスの発展はもとより、教育・芸術文化・科学の発展による人材育成、美しい環境の保全及び健康文化のまちづくりに取り組み、西部日本海域の中心都市としての発展を期しているところである。
国の行財政改革の進展とともに、先行き厳しくなる状況の中、本市としても地方分権自治と実践の努力とともに、自らの選択と創意工夫により、21世紀を切り拓く気概が何よりも求められている。このような局面を打開する大きな力は、高速自動車網をはじめとする道路、河川、港湾の整備、空港のサービスの充実など、21世紀都市にふさわしい基盤整備を進め、産業の振興による市民の所得の向上、経済の大きな力を俟(ま)たなければならない。
こうした基本的な問題意識のもとで、本市は、その豊かな歴史文化・自然資源の活用と、優れた芸術文化・スポーツ・科学技術の活力を生かした観光戦略の推進を目指す「21世紀出雲神話観光大国の建設促進条例(平成17年出雲市条例第355号)」とともに、本市の最優先の戦略として、「産業基盤の整備」、「産業創出及び地場産業の振興」、「人材育成及び人材確保」を強力に推進するため、ここに「出雲市産業振興条例」を制定する。
(目的)
第1条
この条例は、出雲市の自立と発展を担う産業振興に関する基本的事項を定めることにより、21世紀出雲市民の生活の安定及び向上に寄与することを目的とする。
(基本方針)
第2条
市は、企業・農林水産業者(以下「事業者」という。)、商工会議所・商工会・農業協同組合・漁業協同組合(以下「経済団体」という。)、大学・研究機関及び市民等と一体になり、次に掲げる事項を基本とし、産業の振興に努めるものとする。
(1)
産業基盤の整備
産業基盤の整備として新ビジネスパークの創設、中心市街地での商業ビジネス・サービス業の集積、農地の集積、ほ場整備、漁港整備等の基盤及び流通体制の強化等に努める。
(2)
産業創出及び地場産業の振興
産学官の連携を促し、新たな産業の創出及び地場産業の育成による高付加価値製品の創出、農林水産の特産品開発・増産等を強力に推進するとともに、関連企業の集積・誘致を推進する。
(3)
人材育成及び人材確保
産業振興の基本をなす研究・開発、生産、販売等に取り組む知識・技術豊かな人材の育成に努めるとともに、次世代の担い手を誘引するに足るビジネスとして採算性豊かな産業活動の推進を支援する。
(基本施策)
第3条
市は、前条の基本方針に基づき、次に掲げる事項を実践し、産業の振興に努める。
(1)
産業基盤の整備
ア
新ビジネスパークの整備により、企業の誘致・集積を促進し、雇用の拡大と地域の産業、経済の発展に努める。
イ
中心市街地の重点整備による賑わいと利便性と居住性豊かな商業ビジネス・サービス業地域としての基盤整備を進める。
ウ
農地の集積と農林道、ほ場等の基盤整備の促進とともに、技術の向上及び施設・設備の近代化による経営基盤の強化を図る。
エ
森林再生、松くい虫・有害鳥獣対策等による森林保全事業を実施するとともに、自然との共生による環境の保全に努める。
オ
漁港整備、水質の浄化等に努め、生産者市場など水産物流通拠点施設整備による水産業の発展を図る。
カ
地産地消による地場産品を全国展開すべく流通基盤の充実と、インターネット等情報媒体による情報発信力の強化を図る。
(2)
産業創出及び地場産業の振興
ア
産学官連携、異業種交流等による新技術の開発及び高付加価値製品の研究開発を促進するとともに、地場産業の育成・生産性の向上を図る。
イ
風力・水素等新エネルギー関連事業の導入を推進し、新産業の創出に努める。
ウ
新ビジネスの創業支援、新産業分野の研究開発等産業振興の助成制度の充実を図る。
エ
生産技術開発や農業への異業種参入を積極的に支援するとともに、農林水産物の高付加価値化による特産振興に努める。
(3)
人材育成と人材確保
ア
新ビジネスや新技術創出に意欲のある起業家の育成・支援を図る。
イ
就職情報の提供、企業誘致等の促進により、雇用の確保・増大に努める。
ウ
認定農業者や集落営農等への支援、農業経営の効率化、採算性向上等を進め、担い手の育成・確保を図る。
エ
「アグリビジネス・スクール」の開設等により、優れた農業経営者・技術者の養成・確保に努める。
(事業者の役割)
第4条
事業者は、周辺環境との調和及び自然との共生の中で、市民生活の安全及び向上に配慮し、創造性豊かな産業経済活動の進展に主体的かつ積極的に努めるものとする。
2
事業者は、市及び経済団体による産業振興諸施策の推進に積極的に参加・協力するものとする。
(経済団体の役割)
第5条
経済団体は、自ら産業振興に取り組むとともに、市の産業振興諸施策へ積極的に参加・協力するものとする。
(大学・研究機関の役割)
第6条
大学・研究機関は、市・事業者・経済団体と連携協力し、産業の高度化及び新産業の創出に関する助言・協力を行うなど、新産業及び地場産業の発展に寄与するものとする。
(委任)
第7条
この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。