○出雲市男女共同参画のまちづくり条例
(平成17年出雲市条例第408号)
改正
平成18年3月17日条例第40号
平成22年3月24日条例第13号
平成27年3月25日条例第26号
目次
第1章 総則(第1条-第7条)
第2章 阻害行為の制限(第8条・第9条)
第3章 基本的施策(第10条-第20条)
第4章 推進体制(第21条-第24条)
第5章 雑則(第25条)
附則
前文
我が国においては、日本国憲法において、法の下の平等を基本とする個人の尊厳と男女平等を旨とする基本的人権の尊重がうたわれ、男女共同参画社会の実現に向けた様々な試みが、国際社会の取組みとも連動しつつ、急速に進められてきた。
出雲市においても、こうした国際社会や国の動きとともに、男女共同参画の取組みを積極的に進めてきたが、家事、育児及び介護における女性の負担は依然大きく、性別によって役割を固定化する意識が存在し、女性の社会参画も十分には進んでいない状況にある。
また、社会問題として対応が急がれている男女間の暴力等についても、市内の相談件数は増加傾向にあり、その他関連する多くの課題が残されたままである。
さらに、家族形態の多様化や少子高齢化の進展など、地域社会を取巻く環境が急速に変化している状況のなかで、真に心豊かで活力あるふるさと出雲を創っていくためには、男女がお互いにその人権を尊重し、責任を分かち合い、性別に関わりなく、それぞれの個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現が従来以上に強く求められるところである。
よって、出雲市は、男女共同参画のまちづくりを21世紀出雲の創造における基本的な課題と位置付け、全市民が一体となった総合的な男女共同参画のまちづくりを目指し、ここに「出雲市男女共同参画のまちづくり条例」を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条
この条例は、出雲市における男女共同参画のまちづくりに関し、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、真に心豊かで活力のある出雲市を創造していくことを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって家庭、地域、職場、学校その他の市民生活のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女がそれぞれの適性に応じ、平等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2)
事業者 市内において、公的機関、民間を問わず、又は営利、非営利を問わず事業を営む者をいう。
(3)
積極的改善措置 市民生活のあらゆる分野における活動に参画する機会についての男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれが一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(4)
セクシュアル・ハラスメント 市民生活のあらゆる場において他の者を不快にさせる性的な言動をいう。
(5)
ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含む。)に身体的又は精神的な苦痛を与える暴力その他心身に有害な影響を及ばすものをいう。
(基本理念)
第3条
男女共同参画のまちづくりは、次に掲げる基本理念に基づき推進されるものとする。
(1)
男女の個人としての尊厳が重んぜられ、個人としての能力を発揮する機会が適正に確保されるなど男女の人権がそれぞれ尊重されること。
(2)
男女が、性別による固定的な役割分担の意識を強制されることなく、それぞれ個人として多様な生き方を選択することができるように配慮すること。
(3)
男女が、社会の対等な構成員として、市における政策、事業者における方針など様々な分野での企画、立案及び決定に、それぞれ能力・適性に応じて参画する機会が確保されること。
(4)
男女が、家族及び社会における責任を共に担うことによって、家庭、地域、職場、教育現場その他のあらゆる場における活動に、対等・平等な立場で参画し、責任を分かち合うこと。
(5)
妊娠・出産などに関して男女が互いに理解を深め、性と生殖に関する健康と権利が尊重されること。
(6)
男女間のあらゆる形態の暴力が根絶されること。
(7)
男女共同参画の推進が、国際社会の取組みと密接に関係していることを考慮し、国際協調のもとに行われること。
(市の責務)
第4条
市は、男女共同参画の推進をまちづくりの基本政策と位置づけ、前条に定める基本理念に則り、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、実施するものとする。
2
市は、男女共同参画のまちづくりを総合的かつ計画的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
3
市は、市民生活のあらゆる分野における活動について、男女共同参画のまちづくりを推進するため、積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。
(市民の責務)
第5条
市民は、基本理念に則り、家庭、地域、職場、学校その他の市民生活のあらゆる分野において、男女共同参画によるまちづくりを積極的に推進するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条
事業者は、基本理念に則り、事業活動を行うにあたって、男女共同参画によるまちづくりに関する施策に積極的に協力するとともに、働く男女が仕事と家庭生活を両立させることができるよう職場環境の整備等に努めるものとする。
(教育関係者の責務)
第7条
学校教育等あらゆる教育関係者は、基本理念に則り、それぞれの教育の場において、男女共同参画のまちづくりの推進に積極的に配慮するよう努めるものとする。
第2章 阻害行為の制限
(性別による権利侵害の禁止)
第8条
何人も、男女共同参画によるまちづくりの推進を阻害する次に掲げる行為を行ってはならない。
(1)
市民生活のあらゆる分野における性別による差別的取扱い
(2)
市民生活のあらゆる分野におけるセクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他性別による人権侵害
(情報に関する配慮)
第9条
何人も、公衆に情報を提供するにあたっては、性別による固定的な役割分担若しくは性的な暴力等を連想させ、又は助長させる表現その他人権を侵害する性的な表現を行わないよう努めなければならない。
第3章 基本的施策
(行動計画の策定)
第10条
市長は、男女共同参画のまちづくりの実現のため、総合的かつ具体的な施策を取りまとめ、その施策を計画的に実施するための行動計画(以下「行動計画」という。)を策定するものとする。
2
市長は、行動計画の策定にあたっては、市民、事業者及び教育関係者(以下「市民等」という。)の意見が反映されるよう努めるものとする。
3
市長は、行動計画を策定したときは、議会に報告するとともに、広く市民等に周知し、理解と協力を促すものとする。
(実施状況の年次報告)
第11条
市長は、毎年、施策の実施状況等を議会に報告するとともに、広く市民等に周知するものとする。
(啓発活動等)
第12条
市は、基本理念に基づき、家庭、地域、職場、教育現場その他のあらゆる場における制度や慣習の見直しの働きかけをはじめとする啓発活動を行うものとする。
(家庭への支援)
第13条
市は、基本理念に基づき、家族を構成する男女が相互の協力と社会の支援のもとに、子育て、介護等の家庭生活及び就業その他の市民生活における活動に、対等に参画できるよう必要な支援を行うものとする。
(地域への支援)
第14条
市は、基本理念に基づき、地域の社会通念や慣習等の見直しに係る意識啓発に対する支援その他の必要な支援を行うものとする。
(職場への支援)
第15条
市は、基本理念に基づき、男女の仕事と家庭生活の両立など職場における積極的な活動を促進するために、各種情報の提供など必要な支援を行うものとする。
(教育現場への支援)
第16条
市は、基本理念に基づき、学校教育等あらゆる教育の場における人権意識の向上と男女共同参画の取組みに必要な支援を行うものとする。
(暴力等の防止及び被害者等への支援)
第17条
市は、配偶者等からのドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメントを防止する施策を講じるとともに、これらの被害を受けた者等に対し、必要な支援に努めるものとする。
(相談への対応)
第18条
市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画によるまちづくりの推進を阻害する行為について、市民等から相談があった場合は、関係機関との連携のもとに適切な措置を講じるよう努めるものとする。
(拠点施設等の充実)
第19条
市は、男女共同参画のまちづくりを推進するための啓発、研修、相談等あらゆる活動の拠点となる施設や関連施設の充実に努めるものとする。
(苦情の処理等)
第20条
市長は、市が実施する施策に関する男女共同参画についての市民及び事業者からの苦情の申出に対し、適切に処理するよう努めるものとする。
第4章 推進体制
(推進委員)
第21条
市長は、男女共同参画のまちづくりを推進するため、出雲市男女共同参画推進委員(以下「推進委員」という。)を置く。
2
推進委員は、男女共同参画のまちづくりに関し、意見・苦情等の情報収集及び啓発活動を行うとともに、その活動に関し、市長に意見を述べるものとする。
3
推進委員は、10人以内とし、市長が委嘱する。
4
推進委員の任期は、2年とする。
ただし、再任を妨げない。
5
補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6
男女いずれか一方の推進委員数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。
(推進委員会)
第22条
市長は、前条の推進委員を構成員とする出雲市男女共同参画推進委員会(以下「推進委員会」という。)を設置する。
2
推進委員会は、行動計画に関する事項その他男女共同参画のまちづくりに関し、市長の諮問に応じ、調査及び審議し、市長に答申するものとする。
3
会長は、委員の互選によって定め、会務を総理し、推進委員会を代表する。
4
会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員が、その職務を代理する。
(会議)
第23条
推進委員会の会議は、会長が招集し、その議長となる。
2
推進委員会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3
推進委員会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
4
推進委員会は、必要に応じ部会を置くことができる。
5
推進委員会は、必要に応じ委員以外の者を会議に出席させ、会議に参画させることができる。
(庶務)
第24条
推進委員会の庶務は、市民文化部市民活動支援課において処理する。
第5章 雑則
(委任)
第25条
この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成18年3月17日条例第40号)抄
(施行期日)
1
この条例は、平成18年4月1日から施行する。
附 則(平成22年3月24日条例第13号)
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成27年3月25日条例第26号)抄
(施行期日)
1
この条例は、平成27年4月1日から施行する。