2020(令和2)年度の展示

春季企画展「上塩冶の山寺と塩冶氏居館」
会 期:令和3年3月6日(土)~5月17日(月)
 【展示概要】
 
出雲市上塩冶町の大井谷の奥に、古代(奈良~平安時代)から信仰された「山寺」がありました。

古代の遺物には、多数の仏具系の須恵器など、特徴的なものが見つかっており、「山寺」は古代において重要視されたことがうかがえます。

その後、「山寺」は鎌倉時代から室町時代にかけて隆盛期を迎えます。この時期にも当時の高級な陶磁器が多数出土しています。これと同時期に大井谷の入り口に塩冶氏が拠点を置くことから、「山寺」は彼らによって支えられたと考えられます。

 今回の企画展では、このような大井谷の「山寺」の盛衰をご紹介します。

【主な展示品】

 大井谷Ⅱ遺跡
  ①須恵器壺G(奈良時代末)

  ②古瀬戸燭台(室町時代) ※①②は日本最西端の出土

  ③古瀬戸尊式花瓶(室町時代):県内唯一

 築山遺跡

  ④白磁(平安時代初め):出雲平野唯一

  ⑤酒会壺(室町時代):守護大名クラスの遺物

 【関連講演会】 終了しました。
 
日 時:3月20日(土・祝)14:00~16:00
 演 題:中世の信仰事情からみた上塩冶の山寺
 講 師:山本 義孝 氏(日本宗教学会会員・日本山岳修験学会理事)
 受講料:無料
 【ギャラリートーク】 終了しました。
 
日 時:3月28日(日)、4月18日(日)
     いずれも10:00から開催します。
 ※展示の見どころを、担当学芸員が分かりやすく解説します。

 

中世の古瀬戸燭台(大井谷Ⅱ遺跡出土)


ギャラリー展「2000年前の弥生土器 -出雲型広口壺の生産-」
会 期:令和3年2月25日(木)~7月5日(月)
【展示概要】

弥生土器は、弥生時代の遺跡から最も多くみつかる出土品です。土器は、その形や文様の違いから作られた時期を推定でき、「年代の物差し」とも言われます。また、同じ時期でも地域によって、形や文様が異なることから、地域関係を明らかにすることができる重要な考古資料です。

今回の展示では、約2000年前(弥生時代中期の終わり頃)の弥生土器、「出雲型広口壺」を取り上げます。

この広口壺は、独特な形と文様で飾られた大型品で、出雲市を中心に西は大田市から東は松江市、南は飯南町や奥出雲町にかけて分布しています。この壺が生産・拡散された仕組み、そして、それを支えた地域社会について紹介します。

【展示する出雲型広口壺】

 〇出雲市
   矢野遺跡・中野西遺跡・中野美保遺跡・青木遺跡・下古志遺跡

 〇大田市
   鳥井南遺跡
 〇飯南町
   板屋Ⅲ遺跡
 〇雲南市
   垣ノ内遺跡・原田遺跡

 〇松江市
   森屋敷遺跡・田和山遺跡・雲垣遺跡・西川津遺跡・佐太前遺跡

【その他の展示品】

  出雲市海上遺跡の刷毛目(はけめ)工具

  【関連講演会】 
 
日時:12月5日(日)14:00~16:00
 演題:土器をつくる人びと-出雲型広口壺の拡散の背景を探る-
 講師:田﨑 博之 氏(愛媛大学名誉教授)
 受講料:無料


 
~申込について~ 
  〇先着50名
  〇事前申込が必要です。(当日受付なし)

  
〇申込方法 電話・FAXのみ
      電 話  0853-25-1841
      FAX  0853-21-6617
  〇必要事項 氏名・電話番号・住所
   ※講演会当日は、感染症予防のためマスクの着用、手指の消毒
    受付での体温測定にご協力ください。
【ギャラリートーク】 終了しました。
 
日 時:3月20日(土・祝)、4月17日(土)
     いずれも10:00から開催します。
 ※展示の見どころを、担当学芸員が分かりやすく解説します。

 


出雲型広口壺(矢野遺跡出土)


速報展「国史跡追加指定「出雲国山陰道跡」」
会 期:令和3年1月20日(水)~5月24日(月)
 【展示概要】
 
昨年11月20日に、出雲市斐川町直江の国史跡「出雲国山陰道跡」の東側350m区間を、国史跡に追加指定するよう、文化審議会から文部科学大臣へ答申されました。

出雲国山陰道跡」は、今から約1300年前に整備された、都と地方を結ぶ駅路(七道)のひとつです。道幅が9mもあり、丘陵の尾根上を約1㎞にわたって造成した痕跡が良好に残る全国でも数少ない道路跡です。

今回の速報展では、出雲国山陰道跡を紹介しながら、古代と現代の土木技術の比較を中心に紹介します。




尾根上を造成したイメージ



ギャラリー展「出雲神楽 ~その歴史と道具~」
会 期:令和2年12月2日(水)~令和3年2月23日(火・祝)
 【展示概要】 

 長い歴史を持つ出雲神楽の舞を支えてきた神楽面は、自然素材を優れた造形物に発展させる「匠の技」の結晶と言えます。しかし、現在、出雲市内で神楽面を作る方は少なくなり、技術の継承が危ぶまれています。

 そこで、神楽面の制作技術を目に見える形で残せないかと考え、杉谷工房・杉谷茂さんにご協力いただき、普段なかなか見ることができない神楽面の制作工程を展示しました。

 今回の展示では、出雲神楽を代表する演目と神楽面を紹介しながら、その伝統を伝える技と想いに注目します。




神楽面制作工程の一部(制作協力:杉谷 茂 氏)



開館10周年記念特別展
「出雲・上塩冶築山古墳とその時代」

会 期:令和2年9月26日(土)~12月21日(月)
【展示概要】
 出雲弥生の森博物館は今年の4月29日に開館10周年を迎えました。これを記念し特別展を開催します。
 今回取り上げる遺跡は、6世紀末に造られた出雲市上塩冶町の国史跡、上塩冶築山古墳です。2018(平成30年)年には、出土品が国の「重要文化財」に指定されました。展示では、この古墳と中国・四国地方の主要古墳の副葬品を展示します。日本の古代国家が成立する直前の時代について、上塩冶築山古墳を介して紹介します。ぜひ、ご観覧ください。
【関連講演会】 終了しました。

 【第1回】

  演 題:上塩冶築山古墳の2セットの馬具と2人の被葬者

  講 師:桃﨑 祐輔 氏(福岡大学)

  日 時:10月10日(土)14:00~16:00

 【第2回】

  演 題:上塩冶築山古墳のガラス玉はどこから来たのか?

  講 師:田村 朋美 氏(奈良文化財研究所)

  日 時:11月7日(土)14:00~16:00

 【第3回】

  演 題:上塩冶築山古墳の金銅冠と被葬者をめぐって

  講 師:持田 大輔 氏(奈良県庁)

  日 時:12月5日(土)14:00~16:00

 

速報展「新発見・横穴墓の線刻壁画
    ―神門横穴墓群の調査から―」
会 期:令和2年9月16日(水)~令和3年1月18日(月)
 【展示概要】
 
昨年度、発掘調査を実施した神門横穴墓群第10支群で、線刻壁画の残る横穴墓1基(J-4号横穴墓)を確認しました。線刻壁画は、天井や奥壁に鋭い工具を用いて線を刻んだ壁画のことです。今回、新たに神門横穴墓群で発見した壁画の他、市内2カ所の横穴墓で見つかっている線刻壁画を紹介するとともに、壁画の意味を探ります。
 


横穴墓玄室(げんしつ)天井の線刻壁画


ギャラリー展「悪疫退散!小さきモノに込めた祈り
            -マツリの道具の歴史-」
会 期:令和2年9月9日(水)~11月30日(月)
 【展示概要】
 
現在、新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し、各地で猛威を振るっています。このような人間と疫病との関わり合いは有史以来繰り返され、人間はこれを克服してきました。そうした中で、医術が発展していない時代においては、時に「祈り」だけが治療の術となることもありました。

 今回の展示では、縄文から江戸時代にいたる「祈り」あるいは「マツリ」の場面で使われた小さな道具に注目します。

 


ミニチュア土器/矢野遺跡(矢野町)*高さ3.8㎝【弥生時代前期】



文化庁「記念物100年」参加事業 「記念物100年」パネル展
会 期:令和2年9月9日(水)~12月7日(月)
 【展示概要】
 
昨年、令和元年は、文化財保護法の前身の一つである「史蹟名勝天然紀念物保存法」が制定されて100年の節目の年にあたります。これを記念し全国の代表的な記念物(史跡・名勝・天然記念物)を紹介するパネル展を開催いたします。

この展示を契機に記念物を「国民・地域の宝」として未来に引き継いでいく機運が高まれば幸いです。

 


ギャラリー展「いつまでも戦後でありたい2020
             身近に残る戦争の記憶」
会 期:令和2年7月29日(水)~9月7日(月)
 【展示概要】

 アジア・太平洋戦争の終結から75年目の夏を迎えました。

 戦争は遥か遠いことのように感じられますが、一方で戦争を物語るさまざまな遺構は、今でも身近なところに数多く残っています。

 本土決戦に備えてつくられた飛行場跡、敵機を監視する聴音壕やレーダーの跡、機銃掃射を受けた橋桁の銃弾痕、松並木に残る松ヤニ採取痕など。

 この夏、身近に残る戦争の「記憶」を訪ね、いま一度、戦争について考えてみませんか。

 


軍用機墜落現場に立つ慰霊碑(出雲市大社町)


速報展「発見!県内最古・7世紀後半の墨書土器」
会 期:令和2年7月22日(水)~9月14日(月)
 【展示概要】
 
当館では今春、春季企画展「『日本書紀』1300年記念・硯から見た古代の出雲」と題した展示を開催しました。
 今回、春季企画展に際する調査を通して、壱丁田(いっちょうだ)遺跡(出雲市白枝町(しろえだちょう))出土の7世紀後半の高杯(たかつき)に墨で文字が書かれているのを確認しました。
 7世紀の文字資料としては、土器に文字を刻む例は市内でも見つかっていますが、墨で文字を書いた例は初めてで、県内にも例がほとんどありません。
 今回の速報展では、“県内最古の墨書土器”として、その概要をご紹介します。
 
       

        
左:高杯を逆さにした状態で撮影(赤外線写真)
           三角形の透かしの右下に「奉」の文字が見える。
         右:文字の位置を記した図

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